母の姿
私の母はかわいい。
見た目はカッコいい系のオーラがあるのだが、
中身が女の子のままで、天真爛漫で、
見ていて微笑ましい。
たまにひやっともするが。
よく、好きな男性のタイプは?と聞かれた時に、「中身が少年の人」と答える女性がいるが、
まさしくそれの女版が私の母だ。
日本語でかわいいというと外見の要素が優位になりそうだが、
別の言葉で表現すると「チャーミング」なのだ。
母の後ろ姿を見ると、たまに胸が締め付けられるときがある。
この背中で家族のことを考え、従業員のことを考え、それでも心健やかにここまで生きてこれたのは、彼女の健全な明るい心のおかげだっただろう。
たまに母は鋭すぎる時がある。
自分がとびきりの純粋だからこそ、
他人の「不純」に鼻が効く。
私についても、何気なくいわれて図星だったことが何度もある。
だから、母と向き合うときは
自分の中に曇りがあってはいけないのだ。
曇りがあると、母の顔は怖くて
正面から見ることができない。
そんな母の強すぎる影響力に
憧れたこともあるし、恐れたこともある。
母といると自分の気持ちや考えを
見失いそうで怖い時がある。
今でも、何が本当の自分の気持ちかわからないことが多すぎる。
それくらい、私は母に憧れ、母を尊敬し、
母を愛し、愛されたいと願っているのだろうと思う。
母から認められたい。
この願望が執着のように私の心の中にあるのかもしれない。
なぜだろうか。
どうして私たち家族は、こうも距離が近いところでしか生きていけないのだろう。
程よい距離を保って平和に暮らせる家族も山ほどいるだろうに。
でも、母が好きだ。
どうか、ずっと、変わらず健康で楽しく生きてほしい。