ピンク色のマスク
コロナが始まる前は、マスクなんて1度もつけたことがなかった。
本当に、1度も。
よく通勤とかすっぴん隠しのタメとかで普段からつけている人も
周りにはいたが、私は、ただの1回もつけたことがなかった。
コロナが始まって最初は、マスクを着けるを嫌がったタイプだった。
つけ慣れていない私からすると、頭がぼーっとしてきたり、顔が痒くなったりして、
マスク=不快なものだった。
それが、コロナが全然収まらなくて、マスクをつけないと非国民のように見られる時期がきて、私も外に出る時にはマスクをつける、という習慣を完全に習得できた。
冬なんて、マスクを着けていると顔が自分の息で温かくなって、
その分、蒸気でまつ毛も眉毛も凍ったりする二次被害はあるが、
次の冬、もしコロナが治って、マスクをとってもいいよ、と言われても、
外にいる時は手を伸ばしてしまいそうになるくらい、暖かさ対策では必要アイテムとなってしまった。
コロナの始まりから1年。
ずっと真っ白な不織布マスクをつけてきた。
布マスクが流行ったり、かわいいものが発売されても、
あまりそれには惹かれなくて。
マスクでおしゃれをしたい、なんて考えが全くなかったからだ。
そして、いつか終わるものにお金もかけたくない。
それがだ、最近、不織布マスクにカラーバリエーションが増えているのに気づいた。
真っ黒なマスクには一度も興味を示したことがないが、
肌色がよく見えそうなベージュやピンクの不織布マスクが簡単に買えるようになっていることに気づいた。しかも白い不織布マスクと値段が変わらない。
今回、初めてピンクの不織布マスクを買ってみた。
やはり、予想通り、真っ白なマスクをつけているよりも
優しく見えて、顔色もよく見える気がする。
これはいい。
毎日気分が上がる。
あんなに嫌だったマスクを少し楽しめている。
なんだか、文化というのはこういうふうに発達していくのだろうか、と
最近しみじみ感じる。
新しい衣食住の衣の文化だ。
下着をつけるのと同じ感覚でマスクをつける時代。
なんにせよ、マスク一つでテンションが上がる自分も単純だとつくづく思うが、
でもこのコロナ禍の時代で、自分を自分で癒す力は
どんな力よりも今必要とされているのでは?と考える。